作成:2021/04/22 22:33 更新:2021/08/09
視覚言語(日本手話など)では、手形の対称性の破れは無いはず。
何を言っているのかわからないですね…
視覚言語では、だいたいの単語は手の形・動き・位置で表現される。手の形が左右非対称な単語はもちろんたくさんある。だが、それらの単語は、左右反転状態で表現されても全く同じ意味を表す。
基本的には利き手の動きが大きくなるように表現される。
生活の中の動作で、左右非対称な動きはたくさんある。それらの動きは、たいてい左右どちらの手を使っても(あるいは動作を左右反転させても)、目的は達成される。例えば、
- (靴を履くために)一方の足を靴のほうに持っていく。
- くつのひもを蝶結びする。
- ベルトをズボンに通す。
- ネクタイをしめる。
- (階段を降りるとき)1段目の足を踏み出す。
- 腕や手を組む。
- 箸を持つ。
- スマホの画面をタップする。
これらの動作は無意識のうちに、利き手の動きを大きくしている。
左右逆の動きをためしてみると、難しい動作がけっこうある。私はネクタイをしめる動作を非利き手でトライしたとき、できるようになるまで2、3日かかった。
何を言いたいのかと言うと、視覚言語で利き手の動作に慣れてしまった場合、非利き手に切り替えるのはしんどい、ということ。まあ、そんなことをやろうとする人はごくわずかだと思うが。
私は、日本手話の学習を初めて半年後ぐらいに、スキーでコケて右手の手首を痛めた。そこで、左手に切り替えてみることにした。その時点での語彙数は150〜300ぐらいだったと思う。結果的にはそれほど苦労せずに切り替えられた。半年ぐらいだと、まだまだ手の動きはぎこちないので、左右が変わることの負荷は大したことないのだ。
強いて言うなら、回転系の動作を修正するのにちょっと苦労したくらいか。「右手でやるときはこういう動きだから、それを左右反転させて…」と考えるのに負荷がかかった。
音声言語では、単語は口腔の器官の形・動き・位置で表現される。口腔で調音するときに左右の対称性について考えることはまずない。そして、舌などの左右の形を使い分けられたとしても、発音が違って意味が違うということはまずないだろう。
そうそう、日本手話では表情筋・顔のパーツの動き・頭部の動きが多用されるが、これも左右の対称性について考えることはまずない。左右を使い分けられたとしても、意味が違うことはないだろう。
というわけで、手話というマイナーな言語に触れて感じた、対称性の破れの無さについての話でした。
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